読み聞かせのあと、すぐに感想を聞かなくてもいい
絵本を閉じたあとの数秒に、子どもはまだ物語の中にいることがあります。「どうだった?」と聞く前の、その時間について書きます。
絵本を閉じたあとの数秒
読み終えて、本を閉じます。
「おもしろかった?」「どの場面が好きだった?」「うさぎさん、どうして泣いてたんだろうね?」
こう聞きたくなるのは、子どもの言葉を聞きたいからです。読み聞かせは言葉を育てると言われていますし、聞けば何か返ってくるはずだ、と思います。
けれども、閉じた直後の子どもは、たいてい少しぼんやりしています。まだ、さっきの場面の中にいるように見えます。そこへ質問が来ると、子どもは物語から出てきて、質問に合う答えを探しはじめます。
答えは返ってきます。「おもしろかった」と返ってきます。ただ、それは感想というより、質問への応答に近いことがあります。
「対話型の読み聞かせ」が本当に言っていること
大人が問いかけながら読む方法は、対話型の読み聞かせと呼ばれ、よく紹介されています。子どもが受け身で聞くだけでなく、話し手になる時間をつくる、という考え方です。
ここで大事なのは、問いかけの数ではなく、順番のほうだと思います。大人が問い、子どもが答える形だけが続くと、対話ではなく質疑応答になります。
対話の始まりが子どもの側にあるとき、最初に必要なのは、質問ではなく、間です。
「心の声」は、遅れて出てくる
まだ十分に言葉になっていない気持ちや願いを、わ碁ころ幼稚園では「心の声」と呼んでいます。物語の言葉です。子どもの内面を言い当てるための言葉ではありません。
そして、子どもが気づき、考え、言葉にする時間を、大人が関わりながら守ることを「信じて待つ」と呼んでいます。
絵本のあとの言葉は、その場では出てこないことがあります。お風呂で出てくることがあります。次の日の帰り道に、突然「あのうさぎ、さみしかったんじゃない?」と出てくることがあります。そのときの言葉は、たいてい、聞かれて出てきたものではありません。
読み終えたあとの数分
読み終えたあとには、たとえば次のような過ごし方があります。
- 閉じてから、五つ数えるくらい黙ってみる。子どもが先に話しだすことがあります。
- 質問のかわりに、こちらの感想を短く置く。「わたしはここが好きだったな」
- 子どもが「もう一回」と言ったら、同じ本をもう一度読む。同じ本が続くのは、進んでいないことではありません。
- 何も言わずに終わってもよいことにする。感想が要る時間ではありません。
読む冊数や、そのあとに何を話したかで、その日を採点しなくてよいと思います。
絵本の言葉は、いつ戻ってきましたか
すぐに返ってこなかった言葉が、あとから思わぬ場面で出てきたことはありませんか。もしあれば、それがいつだったかを覚えておくと、次に本を閉じたあとの数秒が、少し待ちやすくなります。
