作品

ここ、あいてるよ

── クレヨンの碁盤と、千年の一手

「ちょっと待ってね」と言われるたびに、「いいよ」と答えてきた女の子。赤ちゃんをおぶったまま、野菜を切り、洗濯物を取りこむお母さん。そして、千年ぶりに人の家におとまりした亀。女の子のポケットには、とちゅうで止まったままの一局を描いた、クレヨンの碁盤が入っていました。まんまるに見える月の夜に、縁側で、その続きを打つお話です。

この作品について

その夜、わ碁ころ幼稚園の窓ぎわで、一匹の亀が、考えごとをしていた。

千年ほど、ひとつの問いを考えつづけている亀である。

もっとも、そのことを知っている者は、となりのうさぎのほかには、まだ一人もいない。

亀のゴッティ、うさぎのゴッピ、ののかちゃん、そうたくん、まきさん、まゆ先生など、『なくさないように――片方の靴下と、千年の亀』と『みえないけど、あるもん――びんの中の月と、千年のうさぎ』の登場人物も出てきます。

章構成

  • 序
  • 第一章 二番目のおとまり
  • 第二章 ちょっと、まってね
  • 第三章 クレヨンの碁盤
  • 第四章 夜の衣
  • 第五章 十四日の月
  • 第六章 ゴッティの声
  • 終章 三番目の欄

本文の掲載について

本文は、note での公開を準備しています。公開されましたら、このページからご案内します。

寛蓮(かんれん)は、九世紀の終わりから十世紀にかけての僧です。醍醐天皇の前で碁を打った記録が残り、日本で初めて「碁聖」と呼ばれた人物とされています。寛蓮が須賀雄や小町と碁を打ったという記録はなく、物語の中の出会いは創作です。小町の縁のとなりがあいていたこと、ゴッティの声がののかちゃんたちに届いたこと、ののかちゃんの一家とクレヨンの碁盤は、この物語の創作です。物語の中の「わ碁ころ幼稚園」と、そこに登場する人々も、この物語のために創作されたものです。