なくさないように
── 片方の靴下と、千年の亀
靴下を片方なくした男の子。電車の時間を気にして、つい強く言ってしまったお母さん。答えを先に置きかけて、あとから気づく先生。そして、千年迷い続けている亀。誰ひとり完璧ではない、ある一日のお話です。
この作品について
『なくさないように――片方の靴下と、千年の亀』は、わ碁ころ幼稚園の世界観と教育観を物語として届ける創作作品です。
雨上がりの朝、幼稚園の植え込みの下に、小さな亀がいました。けれどこの亀、千年ほど前には人間でした。しかも、囲碁がめっぽう強い。
この物語が描いていること
この話には、最初から正しい答えを知っている人が出てきません。
子どもも、お母さんも、先生も、千年を生きた碁師も、それぞれの場所で迷いながら、次の小さな一歩を探しています。
この物語には、勝ち負けを決める場面がほとんど出てきません。
夜、眠る前に読んでいただけたらと思って書きました。
登場人物
- ゴッティ
- ── 千年ほど道に迷っている、生真面目な亀本作の主人公。その正体は、平安時代に海を渡り、唐で囲碁を学んだ碁師、伴須賀雄(とものすがお)です。
- まゆ先生
- ── 答えを急がず、そばにしゃがむ先生「わ碁ころ幼稚園」の先生。子どもの気持ちを何でも見抜ける、完璧な先生ではありません。
- そうたくん
- ── 気持ちが、言葉より先に動く男の子まきさんの息子で、わ碁ころ幼稚園の園児。
- ののかちゃん
- ── よく見ているぶん、自分の気持ちを後回しにしてしまう女の子わ碁ころ幼稚園の園児。
- まきさん
- ── 「また怒ってしまった」と、自分を責めてしまうお母さんそうたくんの母親。仕事をしながら子育てをしています。
- 唐の老棋士
- ── 名を告げずに、宿題だけを置いていった人
- 小野小町
- ── 亀になっても、以前と同じように接した人
- 寛蓮
- ── 逃げ出して、それでも翌朝には戻ってきた名人
章構成
- 序
- 第一章 片方だけの靴下
- 第二章 千年遅れてきた亀
- 第三章 わたしも、やりたい
- 第四章 簾の向こうの一手
- 第五章 朝の続き
- 第六章 小町の紙片
- 終章 なくさない場所
本文の掲載について
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